<STVV DF橋岡大樹選手 × TECRA 石田育男 対談>
(こちらは2021年5月に対談したものです)
遠藤:トレーニング後のお疲れの中、お時間いただき本日はありがとうございます。
わたくしどもの紹介からさせていただきますと、日本の横浜にあるテクラという建設会社になります。そこで今回担当をさせていただきます遠藤と取締役の石田と申します。
先日弊社代表の今井とシント=トロイデンVV(以下、STVV)CEOの立石さんがご対談をさせていただいた際、2021年1月からチームに所属し、ご活躍されている橋岡大樹選手(以下、橋岡選手)とご対談の機会を、クラブに相談させていただいてこのような機会を設けさせていただきました。お忙しいなかありがとうございます。
橋岡:こちらこそありがとうございます。
遠藤:実は橋岡選手とは遠くでゆかりがありまして。僕、実は立教新座だったので志木を使っていて、陸上を今でもやっているので橋岡選手の従兄弟である陸上男子走り幅跳びの橋岡優輝選手は試合で何度かお見かけしています。
橋岡:そうなんですね!
遠藤:彼は僕とは違って一流選手なので僕のことは関わりは薄いのですが(笑)
彼は本当に日本のトップ選手ですが同じ陸上会で今後も繋がりがあるかと思います。今週末の試合でも橋岡優輝選手とはお会いするかなという距離感です。
今回橋岡大樹選手がSTVVに移籍されるということを聞いて、勝手に親近感を覚えているのでインタビューさせていただけて光栄に思います。
石田:当社は現在17期目の会社で、日本の建設会社が母体であるものの、海外はモンゴルとウクライナ、一部ラオスで日本の建設技術を使って建物を建築し収益商品として販売しています。
異国の地できっちり向こうに根を張って事業をやるってなかなか難しいことだと僕たち会社としても思っているのですが、STVVさんが「日本からベルギーを経由して世界でする日本人選手を輩出していきたい」という思いが、僕たちが考える「海外でやっていく難しさを乗り越えて、日本の偉大な会社を創る」というところとすごい親和性があると思って、応援させていただいている次第です。
今日はそんな観点でご質問させていただければと思っております。宜しくお願いします。
橋岡:宜しくお願いします!
石田:今回、コロナもあってオリンピックがいつあるのかというのが非常に難しいタイミングだったと思います。日本で開催される一生に一回しかないオリンピックで、その世代に入るのはなかなか希少な機会だと思うんですが、その中で海外を選んで移籍をされたと思います。ここまで振り返って、そのときの気持ちから今回の移籍についてどうお考えになったのかお伺いできればと思います。
橋岡:まず移籍に関してはいろんな人に反対されました。なぜかというとやはりオリンピックが半年後にあるということで「オリンピックが終わってから行ってもいいんじゃないか」という声が沢山ありました。
けれど僕自身はそうではなく、自分自身を厳しい環境において、もっともっと自分を磨こうという意識で行こうと決めたので。それでオリンピックに出れなかったとしたら色んな人に「オリンピック前に移籍したからだ」や「移籍しない方がよかった」など言われると思いますが、オリンピック前にSTVVに移籍して試合に出てオリンピックに呼ばれるように絶対結果を残してやる、という気持ちが強かったですね。
石田:ご自身で望んだような厳しい環境でしたか?
橋岡:初めての海外挑戦で言語が異ったりサッカーの違いもありましたし、言葉が話せない中でのチームメイトとの関係作りというのも初めてだったので、最初は難しいかなと思っていましたが、入ってみたら意外とすんなり入れて楽しくやっています。
石田:僕は37歳の年代ですが、もともと最近になるまで海外で事業をやるというのは全然考えてなかったのですが、色々なご縁があってテクラという会社でチャレンジをしています。橋岡選手が海外でプレーを意識したのはどれくらいの年くらいからですか?
橋岡:僕が海外でやりたいと思ったのはプロ1年目のときですね。早く海外でやってみたいと思いました。
遠藤:きっかけはあったんですが?
橋岡:高校生のときは、「プロでしっかり出る、Jリーグでしっかり出る」というのが1つの目標でした。それで試合に出ることができて次は自分がどうしたいのか考えたとき、やっぱり海外で活躍したいなと思い始めて、そこから海外移籍を考えました。
石田:その1年目2年目とプロにいらっしゃって、先ほども伺った環境の変化がサッカー以外でも大きいかなと思うんですが、大きく変わったなとか現地の生活で大変なことなどあれば教えてください。
橋岡:湯舟です。ぼくが今現地で住んでいる家には湯舟がなくて。もともと湯舟に毎日しっかり浸かるのでそこが違うかなあと思います。オンラインで少し大きめのバケツを買ってそこにお湯を溜めて入っているんですが、やはり小さくて体育座りみたいになってしまうのでそんなに疲れがとれないというか。そこが難しいなと思ってます。
石田:寮なんですか?それとも部屋を借りてるんですか?
橋岡:クラブが用意してくれたマンションです。
遠藤:同じマンションにチームメイトの方も住まれてるんですか?
橋岡:はい。
遠藤:それだと安心ですね。お食事もチームで管理されてたりするんですか?
橋岡:そうですね。
遠藤:現地の食事が合わなかったりすると、それもコンディションとかのストレスになるかなあと思ってたんですが、そういったところのストレスは大丈夫そうですか?
橋岡選:お米も現地のマーケットで買って食べれているので、食事に関してはそんなにストレスには感じていないです。
ファシリテーター:橋岡選手から海外についてお話いただいたと思うんですが、テクラのような取り組みで海外にチャレンジするのは、日本国内であまり例がないことだと伺っています。今回の海外チャレンジはなぜ決められたのでしょうか。
石田:実は会社としてモンゴルに初めて出たのが2014年なので今から7年前くらいになります。当時モンゴルで日本人の方が施主になって建物を建てていたのですが、なかなか建たないという中で、なんとかしてくれないかという依頼を受けて行ったのが最初です。
日本の当たり前をちゃんと当たり前にやれば、現地の人にとってはクオリティが高くて非常に感謝される、という原体験が代表の今井の方にありまして。これは自分たちのスキルがどんどん海外で役立つと思ったのがきっかけになります。
ファシリテーター:海外というものを意識したのはいつごろからでしょうか
石田:ぼくはもともと国内で不動産や宿泊施設の開発ビジネスをやっていました。海外はやはり面白くて、同じやるにしても日本はいま人口ボーナス期も終わり「どこに新築建てるの?」っていう状態ですが、いま自分たちが行っているモンゴルや今後行くカザフスタンなどは、逆に人口が増加している傾向がある国です。日本でいうと1970~80年代のバブルをいま経験しているようなそういうマーケット。そこでビジネスをやるのはある種、タイムマシーンビジネスではないですが先に経験した日本の知見が活きたりするのが非常に面白いなと感じています。
遠藤:では最後に弊社石田の方から橋岡選手の方にご質問させてください。
石田:日本のサッカーの底上げのために、ベルギーを経由することが非常に重要なんだと立石さんの方からお伺いしていたんですけども、今回は期限付き移籍ということですがそのあとのキャリアはどのようにお考えですか?この国のサッカーが好き、とかあるんですか?
橋岡:やっぱり世界に羽ばたくという意味でもSTVVでしっかり活躍をして、ぼくはドイツ・イタリア・フランスを経てプレミアに行きたいなという気持ちはあります。
やっぱりドイツの試合を見てると、ものすごいアグレッシブで一観客として見てて楽しいサッカーなので、そういったリーグで僕もやりたいなと思ったのと、その究極がプレミアだと思っています。
プレミアは世界各国の代表選手が集まってクオリティ・フィジカルレベルの高い、見ていて楽しいと思うので、ドイツ・イタリア・フランスを経てプレミアで活躍をしたいなと思っています。
石田:ドイツの諸先輩方で、活躍されている選手が多いと思うのですが、交流や情報交換など結構されてる感じなんですか?
橋岡:いや、ドイツでプレーしている選手で知り合いなのが遠藤航選手だけなんですよ。遠藤選手とも今はそんなに連絡をとっていないのでどういう状況とかも分からないですし、どういうプレーがいいとかも正直分からないですが、いろんな選手がドイツに行って日本人で活躍してる選手も多いので、そういった意味では僕にもチャンスはあるのかなと思っています。
石田:質問がサッカーの話ではなくなるので恐縮なんですが、僕たちは日本のものづくりや日本が先に経験できたビジネススキルを使って、新興国の成長のきっかけになるようにやっていこうと思って色んな国に出て行ってます。
実際、習慣も言語も全て違うなかでビジネスをするって結構大変で、サッカーの世界でもその大変さは同様だと思うんですが、日本のアイデンティティを持ったまま海外で名をあげるってパワーがいることだと思ってるんです。
そういうパワーをもった人がビジネスやサッカー問わず横の繋がりが出来ていくと、面白い形になっていくと思っていて、橋岡選手がサッカーとは関係なく海外で頑張っているすごいなって思う人っていますか?
橋岡:経営者の方、たとえばZOZOTOWNの前澤元社長。ただ正直ビジネスの世界のことが分からないので、どういうことをしているか分からないですが、あそこまで行く人って何かしら優れている能力があると思うんです。
それにプラスして努力できる力もあると思うので、サッカーもそうですが、目標に向かって自分がやりたいこと、夢、それに向かって努力することはすごいなと思います。
あとは従兄弟。従兄弟の橋岡優輝は陸上の走り幅跳びをやっていて、世界選手権に出たり、日本では日本選手権で優勝していたり、活躍を聞くと刺激を受けます。
彼の話を聞いていると物凄く自信に溢れている。
自信に漲っているところもやっぱスポーツ選手として重要だと思うし、僕も共感ができて、毎回こういうところって本当大切だよなって学ばせてもらっています。
そういった面でも親戚といえどもリスペクトしていて、競技は違いますけど、かつ親戚の中でも負けたくないなというのはあります。
遠藤:スポーツでみなさんご活躍されているご家族だなあと、一ファンから見るとあるんですがそういう風に橋岡優輝選手とは普段からコミュニケーションは取られるんですか?
橋岡:普段はそんなに取らないんですが、従兄弟が優勝したときや僕が代表で活躍しているときにおめでとうなど言い合ったりはしてます。
石田:コミュニケーション量とライバル視している熱量が全然違うって感じですよね。
橋岡:競技が違うから「あんな活躍してすごいな」っていう。
個人競技で優勝してすごいと本当に思ってるので、負けたくないという気持ちもありますが、活躍してほしいという気持ちの方が強いです。活躍してたまにTVとかで特集されるじゃないですか。そのときに橋岡一家はすごいみたいに僕も出れたりするので(笑)
そういうのも僕にとってプラスだし、逆に僕が活躍してたら従兄弟もTVに一緒に出れてプラスだと思うので、両方が活躍すれば両方にとってプラスだなと思います。
石田:羨ましい関係です。最後になるのですが、オリンピックの決勝のチケットが当たりまして、楽しみにしているんですけれども。ぜひそちらの会場でみなさまとお会いできたらうれしいなと思っております。オリンピックに向けて意気込みがあればぜひ教えていただきたいです。
橋岡:オリンピックの代表に入ることがまず重要だと思います。まずはそれまでにいい準備をして後悔のないようにしたいと思っています。そして選ばれた際には全員一致で目標が金メダルなので、金メダルを狙いに行きたいですし日本初の金メダルを取って歴史に名を刻みたいというのが強いです。
石田:応援しています。
石田:橋岡選手の方から前澤さんすごいよねっていうお話がありましたが、僕たちも世界で当たり前かのように高い次元の企業を目指していて、ぜひスポンサーにと指名で言っていただけるくらいの偉大な会社にしていきたいと思っていますので、引き続きSTVVを応援させていただきながら、わたしたちも海外での事業を顕著に伸ばしていきたいなと思っております。
ファシリテーター:ありがとうございます。
遠藤:対談の方は以上になりますが、オリンピック選考前というデリケートな時間のなかでこのようなお時間いただきましてありがとうございました。
遠藤:引き続き、STVVでのご活躍ならびに橋岡選手のオリンピックでのご活躍、本当に心より応援しておりますので、怪我には気を付けて今後もどうぞ頑張ってください。
橋岡:こちらこそありがとうございます!